【7月21日 AFP】開幕が来月に迫ったブラジル・リオデジャネイロ五輪で、一部が水上競技の会場となっているグアナバラ湾(Guanabara Bay)からごみをすべて取り除くことは保証できないが、少なくとも競技に関しては「公正」な試合が期待できると、州環境当局が語った。

 2週間後の五輪開幕を前に、ブラジル当局は、セーリングやウインドサーフィン競技の会場となっているグアナバラ湾について、深刻な水質汚染の影響はないと述べ、選手らの不安解消に躍起になっている。

 懸念されるのは、高速の軽量ボートやウインドサーフィン選手らが水上を漂うごみにぶつかりかねないことだ。レジ袋が引っかかっただけでもスピードが落ち、試合結果に影響する可能性がある。ほかにも排水汚染による水中の細菌も懸念材料だ。

 リオデジャネイロ州環境当局のアンドレ・コレア(Andre Correa)氏は、「10年間も練習を積んでリオにやってきた選手が、ごみ袋にぶつかるなんてひどすぎる」、「ごみが一つも落ちていない湾など世界のどこにもない。リオ五輪で何か問題が起きるだろうかと言われれば、その可能性は非常に低いが無視することはできない。全く可能性がないわけではない。それでも公正なボート競技レースは保証できる。それについては私は非常に楽観的だ」と述べた。

 グアナバラ湾のボート利用者や清掃員らの報告によると、同湾で発見されるごみには大量のペットボトルやレジ袋のほかにも、動物の死骸からテレビや冷蔵庫まで、ありとあらゆるものがある。

 コレア氏によると、グアナバラ湾に流入するごみの85%を食い止めることを目的に17の主要河川にエコバリアが設置されているが、これが大きな効果を生んでいる。7基を稼働させる前の6か月間に10基のエコバリアだけでごみ約2400トンの流入を阻止したという。

 だが、ブラジルの研究者たちが特定した薬剤耐性菌「スーパーバクテリア」や様々な健康リスク要因をグアナバラ湾から一掃することは、さらに困難だ。湾周辺に住む約900万人が排出する汚水の約半分は未処理のまま湾に流入している。

 それでもコレア氏は、湾内では潮の流れが速いため、汚染した水域があったとしても、水上競技場エリアは清潔で遊泳も可能だと主張。「五輪に関して、私が水質を懸念したことは一度もない」「この1か月間、グアナバラ湾の水質はずっと良好だ」などと述べた。

 その一方でコレア氏は、五輪の招致運動中にリオデジャネイロ当局者が約束した汚染の80%削減をばかげていると一蹴。グアナバラ湾の浄化には、州が200億ドル(約2兆1400億円)を投資したとしても、さらに25~30年を要するとの見解を示した。(c)AFP/Sebastian Smith