【7月4日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)中心部で3日に起きた自動車による自爆攻撃の死者は、これまでに少なくとも119人に達した。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したこの攻撃では負傷者も180人余りに上っており、イラク政府は治安対策を変更するなど警戒態勢を一段と強めている。

 攻撃は3日朝、繁華街のカラダ(Karrada)地区で発生。イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」の終わりを祝う祭日を前に、大勢の買い物客でにぎわっていた。民間防衛隊の隊員によると、犠牲者の遺体全ての収容には数日かかる見通し。

 ISは自爆攻撃について「治安活動」の一環としてイラク人1人が実行したと主張し、イラクで多数派のイスラム教シーア派(Shiite)を標的にしたものだと明らかにしている。ISはこの1週間前、イラクで中部の要衝ファルージャ(Fallujah)を政府側に奪還され、支配に置く主要都市はイラク第2の都市モスル(Mosul)だけとなっている。

 イラクのハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相は同日、今回の攻撃に対応してバグダッドの治安対策を変更するよう命じた。首相府によると、現場を訪れた首相は犯人に「罰」を与えると誓った。犠牲者に対する3日間の服喪も発表されている。

 一方、国連のヤン・クビシュ(Jan Kubis)事務総長特別代表(イラク担当)は、「前例のない規模の卑怯で極悪な行為」と強く非難、当局に犯罪者の裁きを求めた。

 ただ、バグダッドでは毎日多数の車両が出入りする中、こうした爆弾攻撃を防ぐのは困難なのが実情だ。また検問所で偽造品の爆弾検知器が引き続き使用されているなど市内の治安対策にも欠点があり、アバディ首相は新しい検知器の設置を急ぐよう指示した。(c)AFP/Ammar Karim and Safa Majeed