【6月30日 AFP】米国では、心臓病が依然として死因第1位の座を保ち続けているとの調査結果が29日、発表された。心臓病による死亡者数の長期的な減少傾向は近年、横ばい状態に陥っており、肥満や糖尿病の増加がその原因の一つと考えられるという。

 米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA心臓病学(JAMA Cardiology)」に発表された研究論文によると、米国の心臓病および脳卒中関連の全国死亡率は2000年から2011年まで、平均で年3.8%の減少を示していたという。

 だが、この減少傾向は2011年以降、年1%未満に減速した。

 今回の研究では、この減速の理由に関する調査は行われていないが、肥満と糖尿病の増加が原因の一部となっている可能性があると、専門家らは指摘している。

 論文の主執筆者で、米医療団体カイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente)のジャマル・ラナ(Jamal Rana)氏は「心臓の健康は、過去100年にわたって著しい向上がみられたにもかかわらず、これらの慢性健康障害が急速に増加したことが、最近の減速を招いた可能性がある」と述べた。

 心臓病は1921年以来ずっと、米国の死因第1位の座を占めている。

 論文によると、心臓病の死亡率はこの数十年間、減少傾向にある。その理由としては、医療や予防医学の進歩、スタチンやアスピリン使用の増加、喫煙人口の減少、適度の運動や血圧の管理を行う人の増加などが挙げられるという。

 研究者らは、2013年前後のどこかで、がんが心臓病を抜いて米国の死因第1位の座に就くと予想していたが、実際には、それは起きておらず、また近い将来に起きる可能性も低いことが、今回の最新研究で判明した。

「心臓血管医療業界は、この驚くべき傾向を踏まえて、人口集団レベルでの心臓病予防を向上させる革新的な方法の開発に全力で取り組むことを再確認する必要がある」とラナ氏は話した。

 論文によると、がんの死亡率は2000年から2014年まで、年1.5%の割合で着実に減少しているという。(c)AFP