【6月20日 AFP】住んでいたオーストラリアの自然保護区が大型サイクロンで破壊され、観光客との温かい交流を奪われてうつ状態に陥ったウォンバットが死んだとのニュースに、同国のソーシャルメディア上で悲しみの声が広がっている。

 死んだのは、豪クイーンズランド(Queensland)州タウンズビル(Townsville)近くにあるビラボン保護区(Billabong Sanctuary)でレンジャーたちに育てられたウォンバットの「トンカ(Tonka)」。まだ幼い頃に、母親が交通事故に遭い路上で死んだ後、育児嚢(いくじのう)に入っていたところを助け出された。

 フェイスブック(Facebook)の同保護区の公式ページによると、トンカはレンジャーたちと一緒にテレビを見たり、テディベアのぬいぐるみと一緒に寝たりして育った。おなかをなでられるのが好きだったという。

 しかし保護区は2011年にクイーンズランド州を襲った超大型サイクロン「ヤシ(Yasi)」の被害により10週間にわたって閉鎖を強いられた。それ以降、トンカは不可解な衰弱状態に陥って餌を拒否、体重は減っていった。トンカは保護区が再開するまで餌を全部食べることができなかった。保護区側は「トンカは(保護区閉鎖の間に)なでられたり抱かれたりすることがなくなって落ち込んだ。それ以降、元に戻ることはなかった」と説明している。

 さまざまな検査を受けた結果、7歳のトンカは腎臓に回復不可能な障害を負っていることが分かり、18日、安楽死させられた。

 保護区を所有するボブ・フレミング(Bob Flemming)氏は豪公共放送ABCに対し、トンカの死に対し大きな反響が寄せられていると語った。「トンカと一緒に撮影した写真が多くの人から送られてきている。長い間、トンカは子どもたちに抱かれてきた。トンカは人間が大好きで、触ってもらえないと落ち着かなかった」(c)AFP