【6月15日 AFP】米連邦航空局(FAA)は14日、国内の操縦士らに対して、北部アラスカ(Alaska)州上空を飛行する際は、高度を下げ過ぎてセイウチをおびえさせないでほしいと注意を促した。アラスカでは地球温暖化の影響でセイウチが陸地への移動を迫られている。

 FAAによれば、アラスカ北西のチュクチ海(Chukchi Sea)の北極(Arctic)圏域の海氷が減少していることから、雌や子どものセイウチが海岸に上陸せざるを得ない事態が時々生じている。

 しかし、セイウチの集まる場所が航路の下に当たる恐れがあるため、地元住民らは、低空飛行する航空機におびえたセイウチが暴走し、子どものセイウチや人間に危害を及ぼすのではないかと懸念しているという。

 FAAは操縦士側に航路を設定したり高度制限を課したりはしないが、セイウチが上陸している海岸の位置を操縦士に通知する方針。セイウチへの嫌がらせは違法だと改めて注意を喚起している。

 セイウチをめぐっては近年、海氷の上で餌をあさって過ごさず、沿岸部に集まっている群れの姿が多くの場所で観察されている。

 チュクチ海のポイントレイ(Point Lay)付近の浜辺でも昨年、1カ所に約3万5000頭が集まっているのが確認されている。(c)AFP