【6月8日 AFP】ロシアでドーピングがまん延している状況に光が当たるきっかけとなった、2014年のドイツのドキュメンタリー番組。その番組を制作したドイツ公共放送連盟(ARD)が、新たなドーピング告発番組を放映することがわかった。ロシアのスポーツ相が、いわゆる「国家ぐるみのドーピング」に関わっていたことを示唆する証拠も示されるという。

 番組のタイトルは、「ドーピングの知られざる世界――崖っぷちのロシア」で、8日夜に放送される。それからわずか9日後の17日には、8月に開催されるリオデジャネイロ五輪へのロシア選手の出場可否について、国際陸上連盟(IAAF)が判断を下す予定となっている。

 ARDによれば、番組では「国家ぐるみのドーピングの隠ぺい」にロシア政府が直接関わっていることを告発する、さらなる証拠が示されるという。

 その一つが、「ロシア・プレミアリーグのサッカー選手が薬物違反を犯したにもかかわらず、(スポーツ相の)ビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)氏が公表を差し止めた」ことを示す書類。ほかにも、違反を犯したコーチが、いまだに有力選手の指導を続けている現状も明かされるという。

 ARDはすでに、薬物違反の調査を担当しているIAAFの専任チームに素材を提出。返答として送られてきた書簡には、「非常に深刻な事態」、「重大な懸念」といった言葉が並んでいたという。

 ロシアのスポーツ省は、番組放送の知らせに早速反応し、7日夜に声明を発表して、第三者による透明な反ドーピング戦略策定に向けて広範な努力を行っていることを強調した。

 個々の事例については言及を避けているスポーツ省だが、ARDが最初の番組を放映した2014年12月以来、世界反ドーピング機関(WADA)によって「全面的な調査」が実施され、「続けて、ロシアの反ドーピングシステムの一切を再編すべく、あらゆる措置が講じられた」と浄化をアピールしている。(c)AFP