【6月8日 AFP】フランスの労働裁判所は7日、銀行大手ソシエテ・ジェネラル(SG)に対し、同行を経営破綻寸前に追い込んだ巨額損失事件で服役した元トレーダーのジェローム・ケルビエル(Jerome Kerviel)氏を解雇したのは不当だとして、ケルビエル氏に45万ユーロ(約5500万円)の損害賠償を支払うよう命じた。

 同裁判所は判決で、ケルビエル氏は「正当な、あるいは深刻な理由もないまま」解雇されたとし、SG側は2008年の解雇のずっと以前から同氏が疑わしい取引を行っていたことを完全に把握していたと指摘した。同氏の提訴内容が初めて認められた形となった。

 これを受けてSG側の弁護士の一人、アルノー・ショレ(Arnaud Chaulet)氏は、ケルビエル氏がSGに49億ユーロ(約6000億円)の損失を与えて有罪判決を受けたことに改めて言及し、この「あきれ返る」判決を不服として上訴する方針を示した。

 当初から責任を転嫁されたと主張し続けてきたケルビエル氏は地元ラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)のラジオインタビューで「最高の日」になったと語り、今回の判決が2008年以降自身に着せられてきた「汚名と恥をすすいでくれた」と喜んだ。

 同氏は背任と文書偽造などの罪で有罪判決を受けたが、上司らは銀行に利益が入り続けている間は見て見ぬふりをしていたと訴えていた。2010年に禁錮3年を言い渡されたものの、実際には収容から5か月足らずの2014年9月に釈放された。(c)AFP/Aurélia END