【6月20日 AFP】米ロサンゼルス(Los Angeles)のバーナード・マイナー(Bernard Minor)さん(58)は、400ドル(約4万2000円)の借金を返さなかった麻薬の売人を殺害し、26年間服役した。刑期を終えた現在は、怒りの抑制方法について教える「アンガーセラピスト」の一人として活躍している。米国では近年、このようなセラピストの数が増えている。

「以前はとにかく怒りっぽかった」と話すマイナーさん。AFPの取材には「11歳の時からストリートでの暴力に満ちた生活を送ってきた。今は人々を助けたい」と述べた。

 家庭内暴力(DV)を専門とするマイナーさんが関わるのは「虐待してしまう人々」だ。「キレる」人が多いといったイメージを払拭(ふっしょく)することができないロサンゼルスでは近年、怒りの抑制を意味する「アンガーマネージメント」が注目を集めている。

 これまでに1万7000人を治療してきたというベテランセラピストのジョージ・アンダーソン(George Anderson)さん(78)は、「紹介を受けて訪れる人の数が毎年20%ずつ増えている」と話す。

 短気な性格として知られる有名人には、パパラッチに暴力を振るったとされる俳優ショーン・ペン(Sean Penn)さんや歌手カニエ・ウエスト(Kanye West)さん、パーティーの騒音や公道レースでクレームを受けた腹いせに隣人の家に卵をぶつけた歌手ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)さん、お手伝いさんに携帯電話を投げつけたスーパーモデルのナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)さんらがいる。

 しかし、慢性の交通渋滞にイライラを募らせたり、殺人事件の発生率が国内有数だったりと、ここでのアンガーセラピーは何も有名人のためだけに存在しているわけではない。