【5月30日 AFP】米国の小政党リバタリアン党(Libertarian Party)は29日、ゲーリー・ジョンソン(Gary Johnson)元ニューメキシコ(New Mexico)州知事を大統領候補に指名した。共和党の指名獲得を確実にした不動産王のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏、民主党の指名争いを優位に進めるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官への世論の不満が伝わるなか、党の規模を超えた大きな影響を大統領選に与えていきたい考えだ。

 リバタリアン党は「最小の政府と最大の自由」(党代議員)の実現を中心的な目標に掲げる。この日、フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)で党大会を開き、党の大統領候補を選んだ。

 ジョンソン氏はたたき上げの実業家で元共和党員。所得税の撤廃と米内国歳入庁(IRS)の廃止を主張しており、州知事時代には減税と官僚組織のスリム化に取り組んだ。マリフアナ合法化の推進派でもある。

 ジョンソン氏は党員らを前に行った演説で「私は真実を語る。嘘つきではない」と強調。自身の率直な姿勢は大統領選の現状に不満を募らせている有権者を引き付け、長らく弱小政党に甘んじてきたリバタリアン党が「大きな政党」に飛躍することに寄与するはずだと力説した。

 今回の大統領選では二大政党である共和、民主両党の候補に対する不満が広がっていることから、リバタリアン党は付け入る隙があるとみている。実際、トランプ氏とクリントン氏、ジョンソン氏による三つどもえの大統領戦を想定した最近の世論調査では、少なくとも2つの調査でジョンソン氏が10%の支持を獲得している。

 ジョンソン氏は29日の記者会見でトランプ氏に対する批判のトーンを強め、同氏がメキシコ人移民を「レイプ犯」呼ばわりしたのを理由に「差別主義者」と断じた。

 AFPとの今月のインタビューでは、トランプ氏とクリントン氏を「現在の米政界における最も両極端な二人」と評し、「私は社会問題に関してはヒラリーよりもリベラルだし、財政問題では(共和党の候補指名争いから撤退した)テッド・クルーズ(Ted Cruz)よりも保守的だ」と語っている。(c)AFP/Brian KNOWLTON