【5月28日 AFP】イタリア・ミラノ(Milan)で28日に開催される欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2015-16)決勝は、2年前の決勝と同じ組み合わせ、レアル・マドリード(Real Madrid)とアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)によるマドリード(Madrid)勢同士の対戦となった。

 ポルトガルのリスボン(Lisbon)で行われた2年前の決勝は、レアルが延長戦の末に4-1で勝利を収め、通算10度目の欧州制覇を果たした。涙をのんだアトレティコは、今大会でクラブ史上初となるチャンピオンズリーグのタイトルを狙う。

 そこでAFPは、今回の決勝のポイントになるであろう5つのマッチアップに注目した。

■クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)対ファンフラン(Juan Francisco Torres Belen "Juanfran"

 世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール(FIFA Ballon d'Or)」受賞3回の実績を誇るロナウドは、自身が持つチャンピオンズリーグ最多記録の1大会17得点の更新を目指す。前回はPKでチーム4得点目を記録したあと、ユニホームを脱いで鍛え上げられた肉体を誇示した場面は特に有名だ。

 一方で、アトレティコの右SBファンフランは、そんなロナウドとはこれ以上ないほど対照的に地味な役割をこなす。しかし、欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)に向けたスペイン代表のメンバーにも選出されたファンフランは、リーグ戦のマドリードダービー2試合で安定感抜群の守備を披露し、ロナウドを封じ込んだ。

 実際、アトレティコ戦の過去10試合でロナウドは2得点しか決められておらず、チームも1勝しか挙げられていない。

■セルヒオ・ラモス(Sergio Ramos)対アントワーヌ・グリーズマン(Antoine Griezmann

 2年前の決勝で、後半ロスタイムに同点ゴールを決めてアトレティコの心をへし折ったのはラモスだった。レアルの主将を務めるラモスは、度重なる肩のけがの影響もあり、彼のレベルからすれば物足りないシーズンを過ごしてきたが、 4月上旬からの10戦無敗の時期には、復調の気配をみせている。

 グリーズマンはアトレティコ最大の得点源だ。今季は公式戦で32得点を記録し、チャンピオンズリーグでは準々決勝のFCバルセロナ(FC Barcelona)戦で2得点、準決勝のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)戦ではチームを決勝に導く値千金のアウェーゴールを決めている。それだけではない。グリーズマンは、2月のダービーでも決勝点を挙げている。

■ルカ・モドリッチ(Luka Modric)対コケ(Jorge Resurreccion Merodio 'Koke'

 両チームのスター選手たちがゴール前で輝きを放ち、違いをもたらせるかは、中盤の司令塔、モドリッチとコケのパフォーマンスにかかってくる。

 モドリッチは試合をコントロールする能力とパスの配給力に優れた選手で、今季のレアルではもっとも安定して良いプレーを披露していた選手だった。

 コケは今季17アシストを記録したパスセンスを備えているが、最大の武器は圧倒的な運動量だ。今大会での平均走行距離は、全選手中最多となる1試合12キロメートル以上を記録している。

■カリム・ベンゼマ(Karim Benzema)対ディエゴ・ゴディン(Diego Godin

 アトレティコがディエゴ・シメオネ(Diego Simeone)監督の下で躍進した秘訣は、強固な守備だった。そしてその守備を支えているのが、ウルグアイの闘士ゴディンだ。

 ゴディンに鼓舞され、統率されたアトレティコの守備陣は、今季35試合で無失点を記録している。そのうち8試合はチャンピオンズリーグで達成したもので、レアル戦では過去9度の対戦中5試合で相手を完封した。

 ベンゼマは今季のリーグ戦27試合で24得点を稼ぎ、レアル加入後では最高の数字を残したが、カップ戦決勝の舞台ではいまだ得点がなく、アトレティコとの直接対決でも22試合で3得点にとどまっている。

■ギャレス・ベイル(Gareth Bale)対フィリペ・ルイス・カスミルスキ(Filipe Luis Kasmirski

 今季のベイルは、史上最高額でレアルに加入してからの3シーズンで最高の状態にある。過去2シーズンにおいても大舞台での決定力は高く、スペイン国王杯(Copa del Rey 2013-14)、クラブW杯(2014 FIFA Club World Cup)、そして2年前のチャンピオンズリーグと、決勝の舞台でことごとく得点を記録してきた。

 しかし、ベイルのアトレティコ戦唯一の得点にして、2年前の同カードの決勝点は、フィリペ・ルイス・カスミルスキ(Filipe Luis Kasmirski)が負傷交代したあとにようやく生まれたものだった。

 イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)移籍を経て、今季アトレティコに復帰したフィリペ・ルイスは、自身のサイドで対峙したベイルに決定的な仕事を許していない。(c)AFP/Kieran CANNING