【5月17日 AFP】米国の学校で人種による分離が撤廃されてから半世紀以上が経った今も、黒人と白人の学校が事実上分離されているとして、米連邦裁判所は南部ミシシッピ(Mississippi)州クリーブランド(Cleveland)市に対して人種分離の撤廃を命じた。

 16日の米司法省発表によると、米国における人種分離教育に終わりを告げた1954年の「ブラウン対教育委員会裁判(Brown v. Board of Education)」の最高裁判決(ブラウン判決)が出てから約60年にわたって、人口1万2000人の同市の中学・高校では黒人と白人がおおむね分かれて学んできた。

 13日に下された96ページに及ぶ連邦裁判所の判決は、自治体教育当局の数十年の遅れが「何世代にもわたる生徒たちから、憲法上で保障されている統合教育の権利を奪ってきた」と指摘。「この失敗が、善意からのものであれ悪意からのものであれ、あるいはその二つが組み合わさることで、分離に基づいていた学校がとうの昔に統一を宣言して以降、長い間、人種差別撤廃の命令下でクリーブランドを望ましくない位置に置いてきた」と表現した。

 クリーブランド市の教育当局は、生徒のほとんどを黒人が占める中高一貫校が一つあるものの、その他の黒人生徒の多くが、同市の白人生徒のほぼ全員が通う学校に通っているため、すでに人種分離は撤廃されていると主張している。(c)AFP