【5月16日 AFP】米大統領選の共和党候補指名を確実にしたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(69)の女性に対する姿勢は、粗野な発言が目立つ一方で、女性の部下のキャリアアップを促すなど、矛盾する言動が入り混じっている──。このような調査結果を、14日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。

 同紙によると、過去に3回結婚しているトランプ氏は、1960年代に男子校に在学していた時から「女たらし」とあだ名されるほど女性好きとして知られていた。

 一方で、女優でコメディアンのロジー・オドネル(Rosie O'Donnell)さんとの論争でオドネルさんを「太ったブタ」と呼んだり、共和党の候補指名争いでライバルだったコンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)元最高経営責任者(CEO)のカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)さんに対し当選できる顔ではないと発言したりしているのは、トランプ氏が女性嫌いだからだという批判もある。

 しかし、過去40年の間にトランプ氏と関わりのあった女性らを対象に50回以上のインタビューを行ったニューヨーク・タイムズは、女性に対してもっと複雑で矛盾したトランプ氏像を示した。

 トランプ氏は最近まで長年にわたって、ミス・ユニバース(Miss Universe)をはじめとする美人コンテストに出資してきた。1997年のミスUSA(Miss USA)に出場した女性の一人は、当時女優のマーラ・メイプルズ(Marla Maples)さんと結婚していたトランプ氏が、自己紹介してミスUSA候補らの唇にキスをしていたと述べている。

 一方でトランプ氏は、大手建設会社に女性幹部がまだほとんどいなかった1980年代に、自らの建設会社のトップに女性のバーバラ・レス(Barbara Res)さんを起用している。レスさんはトランプ氏に「あなたは男社会の中の女性だ。女性よりも男性の方が優れている傾向はあるが、1人の優れた女性は10人の優れた男性に勝る」と言われたことを覚えているという。レスさんは数年後、トランプ氏に「キャンデーが好きなんだね」とも言われたという。「つまり私が太り過ぎだと言いたかったのでしょう」

 他方、ニュージャージー(New Jersey)州アトランティックシティー(Atlantic City)でトランプ氏が所有するカジノ「トランプ・プラザ(Trump Plaza)」を設計した建築家アラン・ラピダス(Alan Lapidus)氏は「(トランプ氏は)いつも女性に敬意を払っていた」とタイムズ紙に述べている。トランプ氏本人も同紙に、女性を雇用したり、女性のキャリアアップを促進してきたことを誇りとしていると語った。

 同紙の記事が掲載された翌日の15日、トランプ氏はツイッター(Twitter)で「経営難のニューヨーク・タイムズがまた私を非難する記事を書いているが、私がいかに女性を丁重に扱ってきたかということに皆が感心している以外、何もない。ジョークだ!」と投稿した。(c)AFP