【5月4日 AFP】ラブラドルレトリバーなどの一部犬種で、食欲を過剰に高めると思われる遺伝子変異が見つかった。研究結果が3日、発表された。この遺伝子変異を持つ個体は、肥満になりやすいという。

 医学誌「Cell Metabolism(細胞代謝)」に発表された今回の研究で、イヌの肥満に関連する遺伝子が初めて特定された。

 論文の筆頭執筆者で、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の遺伝学者で獣医師のエレノア・ラファン(Eleanor Raffan)氏は「この餌目当ての行動に関する生来の生物学的理由と合致するものを、ペットのラブラドルの約4分の1で発見した」と話す。

 研究チームはまず、ラブラドルレトリバー種の肥満の個体15匹と細身の個体18匹を含むイヌのグループで、「プロオピオメラノコルチン(POMC)」と呼ばれる遺伝子に発生する変異を特定した。

 肥満の個体は、POMC遺伝子の終端で、配列が組み換えられたDNA区分を持つ傾向がみられた。この変異には、食後に空腹ではないことを伝達する脳内化学物質がイヌの体内で生成されるのを阻害する作用がある。

 肥満症に苦しむ人の一部でも、同様の遺伝子変異が発見されている。

 論文の主執筆者で、英ウエルカムトラスト(Wellcome Trust)医学研究評議会(MRC)代謝科学研究所(Institute of Metabolic Science)の共同所長を務めるスティーブン・オライリー(Stephen O'Rahilly)氏は「肥満症患者の中にはまれに、レトリバー種の変異で欠失したPOMC遺伝子の部分と非常に類似した部分に欠失がみられる人がいる」と説明した。

 次に研究チームは、ラブラドルレトリバー310匹からなるより大きなサンプル集団を重点的に調べたところ、POMC遺伝子の欠失があるイヌは、それがないイヌに比べて、太りやすく、餌を欲しがる頻度が高かった他、残飯をあさる回数が多く、餌の時間により注意を払うことが分かった。