【4月27日 AFP】チリで26日、ノーベル文学賞を受賞した同国の詩人、故パブロ・ネルーダ(Pablo Neruda)氏の遺体が再び埋葬された。同氏をめぐっては、軍事独裁を敷いたアウグスト・ピノチェト(Augusto Pinochet)政権時代に暗殺された疑惑が浮上。毒殺された形跡がないか調べるため、3年前に遺体が掘り起こされていた。

 遺体はネルーダ氏の遺言に沿い、太平洋に面したリゾートとして知られる故郷イスラネグラ(Isla Negra)の墓に戻された。

 遺体の調査には国際的な専門家チームが当たっており、細菌のDNA解析の結果を踏まえ、5月に結果を発表する予定だ。

 著名な詩人にして政治家や外交官の顔も持つネルーダ氏は1973年、サルバドル・アジェンデ(Salvador Allende)大統領の社会主義政権に対してピノチェト陸軍司令官(後に大統領に就任)が起こした軍事クーデターからほどなくして、69歳で死去した。

 チリ共産党の著名な党員でもあったネルーダ氏は当時、ピノチェト政権に対する抵抗運動を率いるためメキシコに亡命する準備を進めていた。

 ネルーダ氏は前立腺がんの治療を受けていた首都サンティアゴ(Santiago)の病院で亡くなり、公式な死因は前立腺がんとされる。だが2011年になって、同氏の運転手と個人秘書を務めていた人物が、ネルーダ氏は亡くなる前、胸に不審な注射を打たれていたと主張し、毒殺疑惑が持ち上がった。(c)AFP/Paulina ABRAMOVICH