【4月20日 AFP】中東・北アフリカ(MENA)諸国がおのおの設定した再生可能エネルギーの使用量目標を達成した場合、7500億ドル(約81兆7700万円)の「純便益」がもたらされ得るとする報告を今月、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のアドナン・アミン(Adnan Amin)事務局長が発表した。

 MENA諸国による第6回再生可能エネルギー会議に出席中に会見したアミン氏によれば、MENA諸国の大半が2030年までに総エネルギー使用量の5~15%を再生可能エネルギーで賄うとする目標を掲げている。これを達成した場合、MENA地域のエネルギーセクターで7500億ドルの純便益が生じると言う。

 アミン氏はまた、世界では総エネルギー使用量に対し現在16~17%である再生可能エネルギーの割合を、2030年までに36%と約2倍に高めることを目指していると述べた。再生可能エネルギーの割合が倍増すれば、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で合意された、地球の気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑えるという目標への必要条件となる炭素排出量の半減を達成する一助になると、同氏は述べた。

 再生可能エネルギーに対する世界全体の投資額は昨年、前年比22%増で過去最高の3300億ドル(約36兆円)に達した。アミン氏によればここ数年で、再生可能エネルギーの生産コストは大幅に下がっている。例えば過去5年間で、太陽光発電のコストは80%減となっている。すでに天然ガスと競争可能な水準で、コストはさらに下がるだろうと言う。

 ただし、一方でオックスフォードエネルギー研究所(Oxford Institute for Energy Studies)のバッサム・ファトゥーフ(Bassam Fattouh)氏は、MENA諸国の設定目標は「非常に野心的だ」と述べている。(c)AFP/Marlowe HOOD