【3月31日 AFP】温室効果ガスの排出が現在のペースで続くと、南極の氷の融解によって海水面が2100年までに1メートル上昇する可能性があるとする研究結果が30日、発表された。これは、海面上昇に関するこれまでの予測値の2倍に相当するという。

 このような大きな変化では、地球全域の主要都市や沿岸部に災害が生じることが予測され、数億もの人々がより高い土地への移住を余儀なくされる事態を引き起こすことも考えられる。

 さらに、より長期では状況はますます厳しくなると研究は結論付けている。かつては氷に覆われていた南極大陸が500年以内に喫水線を15メートル以上も上昇させ、地球の海岸線の形を変えてしまうというのだ。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文の主執筆者で、米マサチューセッツ大学(University of Massachusetts)の気象学者のロバート・デコント(Robert DeConto)氏は、AFPの取材に「正直なところ、これに関してはわれわれの研究が間違いであって欲しいと思っている」と語る。

 だが、AFPの取材に応じた別の専門家らも、この結果が的外れではない可能性が高いと口を揃えている。彼らはこの研究に直接関わってはいないが、デコント氏と同様の懸念を表明しつつ、今回の最新研究を「実に優れた科学的成果」と称賛している。

 今後85年の間に、南極の氷融解が世界の海水面をどれだけ上昇させるかについては、これまで「控えめ」に見積もられていた。

 数千人の科学者が参加し、地球温暖化とその影響について各国政府に報告を行っている国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した最新の報告書は、この数字を約12センチとしている。これはすべて、西南極氷床(West Antarctic Ice Sheet)と呼ばれる比較的狭い区域の融解によるものだ。

 また、水温上昇に伴う海水の膨張や、氷河やグリーンランド(Greenland)の氷床の融解などを含むあらゆる要因を考慮したとしても、今世紀末までに海面の総上昇値が1メートルを超える可能性は低いとも予測している。