【3月31日 AFP】フランスのローランス・ロシニョル(Laurence Rossignol)家族担当相が30日、イスラム教のベールを着用する女性たちを「奴隷制を支持していたネグロ(黒人)」に例え、ソーシャルメディア上などで批判を浴びている。

 フランスは欧州で最大のイスラム教徒人口を持つ国だが、公共の場所で顔を覆うベールの着用は禁止されている。だが仏高級ブランドグループ、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下の「DKNY」を筆頭に、仏ファッションブランド大手は近年、イスラム教徒のスタイルを意識したファッションを次々と発表。今年1月には伊ブランド「ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)」が、欧米大手ブランドとしては初めて、イスラム市場に特化したファッションを立ち上げた。

 こうした流れについて、ファッション界の大御所、ピエール・ベルジェ(Pierre Berge)氏(85)は30日、「女性の奴隷化」に貢献していると批判。ロシニョル家族担当相の発言は、それに続く形で、仏ニュース専門テレビBFMTVおよびラジオ・モンテカルロ(RMC)の取材に対して出された。

 女性権利問題も担当するロシニョル氏は自身の発言について、奴隷制廃止論を唱えた仏思想家モンテスキュー(Montesquieu)の論文「ネグロの奴隷化について」を引用したものだと釈明。AFPの取材に対し、「ネグロ」という言葉を用いたのは誤りだったとして謝罪したものの、発言を撤回する意思はないと語った。(c)AFP/Fiachra GIBBONS, Jean-François GUYOT