【3月25日 AFP】米軍事機密にハッキングしたとして訴追され、中国政府のために米軍需企業にハッキングしたことを認めた中国国籍のス・ビン(Su Bin)被告(50)について、中国の国営英字紙・環球時報(Global Times)は23日、同被告を称賛する社説を発表した。

 ス・ビン被告は、米国の複数企業から、輸送機や戦闘機の開発計画を含む企業秘密を盗もうとしたことについて、罪状を認めた。

 23日の司法取引の合意文書によると、同被告は中国の2容疑者と共謀し、F22F35戦闘機およびC17輸送機の設計図の入手を企てたことを認めた。ハッキングを受けた企業の中には米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)も含まれていた。

 同被告について環球時報は社説で、もし仮にス・ビン被告が実際に設計図を盗もうとしていたのなら、「われわれは、わが国のために尽くした彼に対し、感謝と敬意を喜んで表しよう」と述べた。

 環球時報の社説はさらに、「火薬のない秘密の戦場で、中国は、米国から機密情報を収集する特殊工作員が必要だ」と付け加えた。

 一方で同紙は、司法取引内容が事実と合致しているかどうかに対して疑問を投げかけ、米国はこれまでに「大勢の『中国人スパイ』」を逮捕したが、「そのほとんどは無実が立証されている」と主張した。

 中国の洪磊(Hong Lei)外務省報道官は、同事件について質問され、「(中国政府は)あらゆるサイバー攻撃を支持しないし、それらに強く反対している」と述べた。

 米国は、米企業に対する中国政府によるサイバースパイがまん延していると主張しており、米中両政府はこの問題をめぐってこれまでもたびたび衝突してきた。(c)AFP