【3月12日 AFP】バングラデシュ銀行(Bangladesh Bank、中央銀行)が米ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)に保有する口座がハッカーに不正アクセスされ9億ドル(約1000億円)以上が盗まれようとしたが、ハッカー側の誤字などにより大きな被害を免れていたことが分かった。バングラデシュ銀行の関係者が11日に明らかにした。

 ハッカーは先月5日、ニューヨーク連銀にサイバー攻撃を仕掛け、バングラデシュ銀行の外国為替口座から8100万ドル(約92億円)を盗んでフィリピンの口座へ移した。ハッカーはさらに、バングラデシュ銀行の口座から別の口座への送金依頼を数十回行ってさらに8億5000万ドル(約970億円)を盗もうと試みたが、銀行のセキュリティーシステムとハッカーの誤字により大きな被害を免れたという。

 バングラデシュ銀行のラジー・ハサン(Razee Hassan)副総裁はAFPに対し「8100万ドルが(ニューヨーク)連銀の口座から盗まれ、フィリピンのいくつかの口座に入金された。しかし連銀のセキュリティーシステムにより、8億5000万ドルの盗難は阻止された」と述べた。

 ハサン副総裁は「ハッカーは(バングラデシュの)預金をスリランカの口座に移動しようと試みたが、送金依頼に誤字がありこの試みは阻止された」と語った。送金依頼を35回行ったものの失敗したという。

 ハッキングはバングラデシュ銀行が営業していない金曜日に行われた。続く土曜日と日曜日はニューヨーク連銀が営業しておらず、さらにその翌日2月8日の月曜日は旧正月でフィリピンの銀行が休みだった。銀行間の連絡に時間がかかるタイミングを狙って犯行に及んだとみられている。

 バングラデシュではサイバー犯罪として捜査が行われている。バングラデシュ銀行は先に、犯行を行ったのは中国人の疑いがあるとの見方を示しているが、ニューヨーク連銀は今月7日、短文投稿サイト・ツイッター(Twitter)に「ハッキングの報道について、当銀行のセキュリティーシステムが攻撃・侵入された形跡はない」と投稿し、自行のシステムが侵入されたことを否定している。(c)AFP