【3月9日 AFP】英国のウィリアム王子(Prince William)一家の先週のスキー旅行の公式写真が公開されたことを受け、英各紙は8日、普段から公の目に触れたがらない王子に対する不満と相まって高まりつつある「王子は仕事嫌い」だとする批判をいっそう強めた。

 英王室は、ウィリアム王子と妻のキャサリン妃が先週、長男のジョージ王子(Prince George)、長女のシャーロット王女(Princess Charlotte)を連れてフランス・アルプス(French Alps)を訪れたプライベートなスキー旅行の写真を公開。この写真は英各紙の1面を飾った。

 だが、2011年の絢爛豪華な結婚式から5年、ウィリアム王子には今、より厳しい視線が向けられている。

 英大衆紙サン(The Sun)は「またとんずら…仕事嫌いのウィルス(王子の愛称)、家族連れでスキーに」との見出しで、キャサリン妃が笑いながら夫に雪玉を投げている写真を掲載した。通常は王室寄りの同紙は先月、ウィリアム王子を「やる気のない王族」と表現し、祖母のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)は89歳にして昨年は341件の公務をこなしたのに対し、ウィリアム王子は122件だったと批判した。

 また、ウィリアム王子は英王室史上、直系の王位継承権者として初の民間職にも就いており、イングランド(England)東部ノーフォーク(Norfolk)にある自邸近くで救急ヘリコプターの操縦士の仕事を持っているが、英大衆紙デーリー・メール(Daily Mail)は、王子が勤務しているのは月に80時間だけだと報じている。サン紙の方は、王子が「勤務シフトに入ったことはほとんどない」と伝えている。

 ウィリアム王子の母、ダイアナ英元妃(Princess Diana)は1997年に仏パリ(Paris)でパパラッチに付け回された末に自動車事故で亡くなったことから、王子には深いメディア不信がある。だが、批判する人々は、メディア対応と公務の遂行は、王室の一員としての主要な任務だと論じている。

 さらにウィリアム王子は、一家でロンドンからノーフォークへ引っ越したことも含め、自分の子どもたちに対するメディアのアクセスも厳しく制限している。13年に誕生したジョージ王子、15年に誕生したシャーロット王女の撮影機会はわずか数えるほどだ。その代わりに一家はしばしば自分たちで撮った写真、一部はキャサリン妃が撮影したものを公表している。

 ダイアナ元妃の死をめぐる世論の怒りに懲りた英国の新聞はおおむね、ウィリアム王子一家に協力的である。だが、すでに廃刊した英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」の元編集長ニール・ウォリス(Neil Wallis)氏は、現在の批判は、メディアや大衆の「欲求不満の表れ」だと英BBCラジオで語った。「ものすごく単純に、大衆はこの若いロイヤル・カップルを愛し続けたがっている。だから、われわれが(ウィリアム)王子一家について知らされていることと言えば、どれほど少しだろうという当然の疑問を抱く」

 一方、英夕刊紙イブニング・スタンダード(Evening Standard)の王室担当編集者ロバート・ジョブソン(Robert Jobson)氏は、各紙は王子一家のスキー休暇について後になって知ったので腹を立てているだけだと語った。(c)AFP/Alice RITCHIE