【3月9日 AFP】内戦開始からまもなく5年となるシリアで少なくとも25万人の子どもたちが包囲下で生活し、その多くが動物の餌や草や葉を食べて生き延びていることが、子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」の報告書で9日、明らかになった。

 報告書は「これらの子どもたちとその家族は、外の世界から遮断され、民間人に対する包囲攻撃を戦争の武器として違法に行使する戦闘当事者たちに囲まれている」と述べ「少なくとも25万人の子どもたちが、シリア領内各地の過酷な包囲下で生活しており、そこは事実上、野外刑務所と化している」と表現している。

 包囲下にある家族や救助要員、医療関係者、教師などの証言を基にした報告書には、医師は電気のない状態で手術を行い、「病気の子どもたちは、必要な薬が検問所の向こう側にあるのに死んでいる」といった悲惨な状況が描かれている。

 首都ダマスカス(Damascus)東郊の反体制派拠点で働く医師らは、予防可能な病気で死亡する子どもたちを目撃している。ある医師は「政権側が水道を遮断したため、人々はしばしば下水で汚染される地上水の井戸に頼っており、皮膚疾患や胃の疾患が蔓延している」と述べ、また爆発による大量の煙で、特に子どもたちが肺炎や肺感染症にかかっていると語った。さらにある女性は「助産師の助けがなく、出血や手術ができないため多くの人が亡くなっている」とも述べた。

 また包囲下にあるシリア全土の街では食糧不足が深刻だ。「セーブ・ザ・チルドレン」が面接した家族の多くは、1日1食の食事さえ取れないときがあるという。ある父親は「食べるものが見つからないときには、草を食べていた。子どもたちに、草は食べられると嘘をついていた。でも、そんなことあるわけない。食用の草ではなかった」と語った。

 シリアの飢餓危機は、今年初めにダマスカス近郊の包囲下の町マダヤ(Madaya)の異常にやせ衰えた子どもたちの映像が明るみに出て、世界の怒りを巻き起こした。だが、マダヤや他の包囲地域に国連の援助が届いたときでさえ、必要を満たすのがやっとだったと「セーブ・ザ・チルドレン」は指摘している。

 さらに年少者は「恐ろしいほど頻繁に」空爆や砲爆で死亡しており、包囲下の子どもたちは絶え間ない恐怖の中で、精神的に深い傷を負って生きていると述べている。(c)AFP/Serene Assir