【3月6日 AFP】サッカーの規則改正を決定する国際サッカー評議会(IFAB)は5日、審判団を補助するビデオ判定技術のテストを実施することで合意したと発表。テストは遅くとも2017-18シーズンからの2年間で行われ、その後、正式に導入するかが検討される。

 テスト導入により、主審は試合の結果を左右しうる4種類の判定、すなわち得点、レッドカード、PK、そしてカードを出す相手の誤認の場面でビデオ判定を要請できるようになる。国際サッカー連盟(FIFA)は、テストで技術の「長所や欠点、最悪のケースを明らかにする」と慎重な姿勢を示しながらも、「歴史的な決断だ」とコメントした。

 テストでは試合中に映像を確認する専門の副審が設置される。主審から要請があった場合、副審はビデオで当該の場面を確認する。また、映像をチェックした際にフィールド上で審判団が見逃した可能性のある違反があった場合は、自ら主審に連絡を取ることも可能になる。 

 試合の流れが途切れるのは好ましくないとして、ビデオ判定の導入には消極的だったFIFAのジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は「われわれはサッカーにとって歴史的な決断を下した」と語った。

「今後はFIFAとIFAB主導で議論を進め、これらを停滞させることはしない。われわれはファンや選手の声に耳を傾ける姿勢を示した。もちろん、慎重さは必要だが、具体的な方策を柔軟に取っていくつもりだ」

 今回の決定について、数多くのサッカー協会が支持を表明している。オランダサッカー協会(KNVB)はすでに独自のテストを開始し、ビデオ判定が実現する可能性を探っている。

■延長戦での「4人目の交代」も試験導入へ

 さらにIFABは、ペナルティーエリア内での決定機阻止に対してPKが与えられ、ファウルを犯した選手が退場処分となり、出場停止を科される「三重罰」の問題についても、PKプラス退場の条件を緩和することで合意した。

 新たな規則では、ファウルの内容が相手をつかんだり、押したり、引っ張ったりしたものではなく、ボールに対してのプレーであること、さらに危険なファウルや暴力的なプレーではなかった場合、退場ではなく警告処分が科される。

 ほかには、試合が延長戦に突入した際の4人目の交代の許可についてもテスト導入が決まった。ただし、どの大会でテストが実施されるかは発表されていない。

 今回の決断に先立ち、FIFAは2014年のW杯ブラジル大会(2014 World Cup)で使用したゴールライン・テクノロジー(GLT)の導入を拡大し、今季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2015-16)とヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2015-16)の決勝、さらには今夏に開催される欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)でも使用すると発表していた。(c)AFP/Yann BERNAL