【2月29日 AFP】(訂正)ゼイド・ラアド・アル・フセイン(Zeid Ra'ad Al Hussein)国連人権高等弁務官は29日、内戦状態が続くシリア国内では包囲作戦により約50万人が影響を受けており、今後、数千人が餓死する恐れがあると警告した。

 フセイン氏は当初、「数千人の餓死者が出たかもしれない」と発表していたが、国連がその後、「数千人が餓死する恐れがある」の誤りだったとして、公式に訂正した。

 同氏は国連人権理事会(UNHRC)年次会議の冒頭で、「人々を意図的に餓死へと追い込むことは、戦争の手段として明白に禁じられている。その延長線上で考えると、食糧などの必需品を民間人から奪うことになる包囲も同じく禁じられている」と非難した。同氏によればシリアでは現在約48万人が、包囲された都市や集落から脱出できない絶望的な状況にあり、長い場合は数年にわたってそうした状況が続いているケースも存在するという。

 先月、飢えにあえぐ住民たちの衝撃的な映像が広まり、包囲されたシリア人の窮状を示す象徴となったダマスカス(Damascus)県の町マダヤ(Madaya)だけで数十人が餓死したと、援助関係者は話している。

 シリアでは27日に発効した停戦により5年ぶりに戦闘が停止した。今後5日間で援助機関により、包囲地域に暮らす約15万4000人に食糧が配給されると期待されている。

 しかしフセイン弁務官は「居住区や学校、大勢の人々が集まる市場などは無数の空爆で破壊され、街路や住宅にはヘリコプターから無数のたる爆弾が投下され」、シリアの人権は5年近くの間に「あまりにもひどく侵害されてしまった」と嘆いた。(c)AFP