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司法解剖率低い日本、犯罪死見逃す要因か

2016年2月23日 15:07 発信地:東京

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司法解剖率低い日本、犯罪死見逃す要因か
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解剖で使うメスを持つ千葉大学法医学教室の岩瀬博太郎教授(2015年7月15日撮影)。(c)AFP/QUENTIN TYBERGHIEN

【2月23日 AFP】保険金目当てに交際相手8人を殺害した容疑で逮捕され、殺人などの罪で起訴された筧千佐子(Chisako Kakehi)被告(69)は、交尾した後にオスを食べるメス蜘蛛「クロゴケグモ」、英語でブラックウィドウ(黒い未亡人)の異名を持つ──。筧被告による青酸連続殺人事件をめぐっては、殺害された交際相手らの数もさることながら、捜査における手落ちについても広く知られることとなった。

 被害者とされる交際相手ら8人のうち6人については、司法解剖は行われなかった。このことについて専門家らは、日本のシステムの欠陥だと指摘し、国内での解剖率の低さは、殺人犯が逃げおおせていることを意味する可能性もあると警告している。

 警察庁の統計によれば、2014年に死因不明の「異状死」のうち、解剖に回されたのは、わずか11.7%だった。英イングランド(England)とウェールズ(Wales)で同年、解剖が行われた割合は40%、スウェーデンでは同95%だった。

「解剖率が低ければ、犯罪発見ができない可能性は高くなります」と、千葉大学(Chiba University)法医学教室の岩瀬博太郎(Hirotaro Iwase)教授は言う。

 政府は解剖率を2016年までに20%に引き上げる目標を掲げるが、現実にはその半分程度にとどまっている。岩瀬教授は、その原因が法医学の専門家の人材不足と、司法解剖の大半が行われる国立大学の予算削減にあると指摘する。

 法医学の研究室が崩壊寸前の大学もある。日本法医学会(Japanese Society of Legal Medicine)によれば、47都道府県中20県で、司法解剖を担う教授が1人しかいないという。

 筧被告の事件では、警察は当初、同被告の交際相手を病死と判断。夫の筧勇夫(Isao Kakehi)さん(当時75)の遺体から青酸化合物が検出されて初めて同被告を逮捕した。その後、以前の交際相手の死を調べると、同じパターンが見えてきた。

 筧被告は、殺人罪3件と強盗殺人未遂罪1件で起訴されている。国内のメディアによると、警察はほかの4件についても捜査したが、起訴できるだけの十分な証拠を見つけられなかったという。


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