【2月17日 AFP】現実世界の「インディ・ジョーンズ(Indiana Jones)」と称される、テクノロジーを駆使する考古学者が16日、未発見の秘宝を探し出したり、目を見張るような古代の文化財を守ったりするためのオンラインプラットホームへの参加を、人々に呼び掛けた。

 サラ・パーキャック(Sarah Parcak)氏は、世界の古代の文化財を破壊と略奪から守る、21世紀の市民科学者集団の構想を描いてきた。今年、価値のあるアイデアを世界中に広めることを目指す米非営利団体TEDからTEDプライズ(TED Prize)を受賞したことで、構想実現の可能性が出てきた。TEDプライズは、大きな構想を実現する足掛かりとして、100万ドル(約1億1000万円)の資金を提供する。

■「クラウド」の力で盗掘者に先んじて保護を

 パーキャック氏の構想は、世界中の人々に、現状よりも素早く略奪を発見したり、考古学者に(古代の文化財がある)可能性が高い場所を教えてあげたりする「冒険家」になってもらうことだ。

「盗掘者たちに先んじて古代の文化財などがある場所を保護できる唯一の方法は、世界に参加してもらい、私たちが考古学でしている仕事に加わってもらうこと」とパーキャック氏は語る。

 同氏が提供する「探検」の一つは、衛星写真を「デジタルカードゲーム」のようなカードとして提供し、オンラインのユーザーが「カード」を次々にめくっていくことで、写真内に遺跡やピラミッド、盗掘穴などがないか、精査するというもの。

 国などの大まかな情報と、衛星写真のうちごく狭い領域だけが表示される。これは、「略奪者らにログインされて盗掘場所を探すのに利用される、というのだけはなんとしても避けたいから」だとパーキャック氏は説明する。同氏は「何よりエキサイティングなのは、これがゲームとして提供されるということ」と付け加えた。

「クラウド(不特定多数の参加者)」によって示された場所については、考古学者が追加で調査し、政府や法執行機関が保護できるようにする。このサービスは、スマートフォン経由でライブ映像を投稿できる「ペリスコープ(Periscope)」や画像投稿サイトのインスタグラム(Instagram)、ソーシャル・ネットワークのグーグルプラス(Google+)などを通じて提供されることが検討されており、同氏は年内にも提供を開始したいと考えている。

■衛星写真を駆使する「インディー・ジョーンズ」

 パーキャック氏が空撮写真を使うようになったのは、祖父が森林分野の仕事で使っていたのがきっかけだった。同氏は、人工衛星から赤外線画像を作成する技法を開発し、エジプトで未発見だった遺跡を見つけることに成功。さらに、盗掘を発見するのにも衛星写真を活用した。

 現実世界の「インディー・ジョーンズ」と評する人もいるパーキャック氏は、アラバマ大学バーミングハム校(UAB)で地球観測研究所(Laboratory for Global Observation)を創設し、現在、同大の教授を務めている。(c)AFP