【2月15日 AFP】人工知能の進歩により、近い将来には人に代わってすべてをこなすことのできるロボットの開発が進み、世界は今後30年ほどで数千万件の雇用が脅かされる事態に直面することになるだろう──専門家らが13日、警鐘を鳴らした。

「われわれは、機械がほぼすべての職種で人間の能力をしのぐ時代に近づいている」と語るのは、米テキサス(Texas)州にあるライス大学(Rice University)で情報技術を専門に研究するモシュ・バルディ(Moshe Vardi)氏だ。

 バルディ氏は、米国科学振興協会(AAAS)年次総会で行われた人工知能についてのパネルディスカッションで、「人間が行ってきたほぼすべての仕事が、機械によって取って代わられるようになった場合、われわれは何をすればよいのだろうか。こうしたことが実際に起きる前に、社会全体でこの問題と向き合う必要があると私は考える」と問いかけた。

 同氏は、「人間の力」は常にある程度必要とされるだろうが、ロボットの台頭で状況は抜本的に変化するため、職の保障はなくなり、男女等しく影響を受ける恐れがあると指摘。そして「世界経済は50%以上の失業率に適応できるだろうか?」と続けた。

■産業分野での改革

 産業分野では過去40年以上の間、自動化やロボット導入により生産性が向上したが、そのあおりを受ける形で雇用にはしわ寄せがきてきた。

 バルディ氏によると、米国では、製造業の求人が1980年をピークに減少し続けており、それに伴い中間層の賃金も伸び悩みをみせているという。

 米国では現在、20万台以上の産業ロボットが導入されており、その数は増加し続けている。近年行われている研究では、機械の推論能力に焦点が当てられており、この分野は過去20年以上にわたり目覚ましい進歩を遂げている。

 バルディ氏の試算によると、米国では今後25年間で、無人自動車の増加によってドライバー関連の求人が約10%減少する可能性があるという。