【2月13日 AFP】30年前に行方不明になったカナダの男性が発見され、家族と再会する見通しだ。報道によると、男性は突然、記憶を取り戻したという。

 カナダ公共放送CBCなどによると、エドガー・ラテュリプ(Edgar Latulip)さんは21歳のころ、オンタリオ(Ontario)州キッチナー(Kitchener)の養護施設から徒歩で立ち去った。その前に自殺未遂をして薬物治療を受けていたラテュリプさんは、そのまま行方不明になり、母親は殺人事件に巻き込まれたのではないかと危惧していた。

 行方不明者の情報提供などを行うボランティア団体、北米行方不明者ネットワーク(North American Missing Persons Network)によると、当時のラテュリプさんの知的能力は12歳程度だった。

 だが30年後、120キロ離れた場所で別の名前で生活していた男性が突然、過去について思い出し「もしかしたら自分の本名はエドガー・ラテュリプかもしれない」とソーシャルワーカーに告げた。そしてDNA鑑定の結果、この男性がラテュリプさんであることが確認された。

 オタワ(Ottawa)に移住していた母親のシルビア・ウィルソン(Silvia Wilson)さん(76)は先週、警察官から電話でこのことを知らされ、驚いたという。「頭の中が真っ白になった」とウィルソンさんは、地元のニュースサイト「ザ・レコード(The Record)」に語った。「話したいし、できる限り手助けしたい。早く会いたい」

 ナイアガラ(Niagara)地区警察のフィリップ・ギャビン(Philip Gavin)巡査が日刊紙トロント・スター(Toronto Star)とCBCに説明したところによると、ラテュリプさんは行方不明になった後、転落で頭部を負傷して実名を忘れるほどの記憶障害に陥ったため、新たな氏名をつくっていたという。(c)AFP