【2月12日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は11日、同国に入っている数百万人もの難民を欧州連合(EU)の加盟国に送り込むこともできると、強気の発言を行った。

 首都アンカラ(Ankara)で行ったスピーチでエルドアン大統領は、昨年11月に行われたEU首脳会議の場でトルコは難民を追い出すこともできるのだとくぎを刺していたことを認め、従来に増して難民危機をめぐるEUの政策を批判した。

 昨年は100万人を超える人々が、トルコからエーゲ海(Aegean Sea)を経由する危険な旅を冒して欧州入りした。EU加盟各国の間では、さらに多数の移民が流入することに対する警戒が強まっている。

 トルコはすでに約300万人の難民を受け入れているが、シリアで政府軍が攻勢を強めているアレッポ(Aleppo)県から避難したシリア人数万人を受け入れるよう、EUと国連(UN)から圧力を受けている。

 これに対しエルドアン大統領は、トルコには難民を追い出そうと思えばそうしてしかるべき権利が確かにあると主張。「われわれの額には『間抜け』などとは書かれていない。辛抱はしていくつもりだが、やるべきことはきちんとやる。用もないのに飛行機やバスを置いているわけではない」と述べた。

 ギリシャのニュースサイト「euro2day.gr」は今週、昨年11月にトルコのアンタルヤ(Antalya)で開かれた20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)の場で、怒りをあらわにしたエルドアン大統領が欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長に対し、トルコは難民を欧州へ送り込むこともできると警告していたと伝えていた。

 具体的には、「トルコはいつでも、ギリシャとブルガリアへの国境を開き、難民をバスに乗せることだってできる」と発言したという。エルドアン氏は11日のスピーチの中で「自分が言ったことに誇りを感じる」と述べ、この発言を認めた。

 一方、この移民危機をめぐり北大西洋条約機構(NATO)は11日、昨年移民ら数万人のEU入りを手引きしたとされる密航業者を取り締まるため、「一刻も早く」海軍艦隊を派遣することに合意した。(c)AFP/Burak Akinci and Stuart Williams in Istanbul