【2月12日 AFP】禁止薬物の使用で出場停止処分を科されているケニア人陸上競技選手のコキ・マヌンガ(Koki Manunga)とジョイス・ザカリー(Joyce Zakary)が、便宜を図る見返りに、同国陸連(AK)のイサック・ムワンギ(Isaac Mwangi)最高経営責任者(CEO)から合計5万ドル(約560万円)近くの賄賂を要求されたと明かした。

 マヌンガとザカリーは、第15回世界陸上北京大会(15th IAAF World Championships in Athletics Beijing)でドーピング違反が発覚し、ムワンギCEOから金銭を要求されたものの、払えなかったと主張している。

 AFPの取材に対してマヌンガは、「私たち2人は、AKのイサック・ムワンギ氏からそれぞれ250万シリング(約275万円)の賄賂を求められました」と語った。

「そのような大金は払えませんでしたし、私には見たこともない金額でした。競技を始めたばかりで、そんなたくさんのお金は用意できませんでしたから」

 ムワンギ氏が疑惑を否定する一方で、AKも今回の主張について「虚偽であると同時にあり得ないこと」と述べており、処分に至った経緯に関しても「いかなる個人であろうと操作には及べない」事項だったと強調している。

 マヌンガとザカリーの両選手は、昨年8月に行われた世界陸上で禁止薬物のフロセミド(Furosemide)の使用が発覚し、それぞれ4年間の出場停止処分を言い渡された。

 女子400メートルハードルの選手であるマヌンガによれば、同選手とザカリーは処分が確定する1か月前の昨年10月に金銭を要求されたという。

■AKは潔白を主張

 マヌンガは、「陸連幹部が金銭を要求するなんて不公平だと思いました。特に処分期間が4年と決まるまでの長い間、私たちは宙に浮いた状態が続き、絶望的な状況に置かれていたのです」と訴えた。

「自分たちのことを公表する決意をしたのは、ほかにも大勢の陸上選手が同じような窮地に直面していると確信しているからです」

 マヌンガはまた、国際陸上競技連盟(IAAF)の関係者にもこの問題について相談したという。

 一方、ムワンギ氏はマヌンガとザカリーと話し合ったことは認めたものの、賄賂を求めたことについては否定し、「私が彼女たちから金銭を要求したというのは真実ではない」とAFPの取材に答えている。

 AKも声明で、両選手は処分内容について「上訴する権利はあった」もののそれを行使しなかったと述べると、「その代わり、彼女らは個人や連盟に対して損害を与える目的で虚偽の主張を行い、誹謗(ひぼう)中傷するという安易な道を選択した」とつけ加えた。(c)AFP/Aileen KIMUTAI