【2月9日 AFP】(更新)インド南部タミルナド(Tamil Nadu)州で6日、正体不明の物体が落下し、バス運転手1人が死亡、3人が負傷する出来事があった。地元当局は落下したのは隕石(いんせき)だったとしており、事実と証明されれば隕石落下による史上初の死亡例となる。

 ただ専門家らは、隕石以外の可能性もあると指摘している。現地紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)によると、落下の衝撃によって通りすがりのバス運転手が死亡した他、地面に深さ約1.5メートルの穴が開き、近くの建物の窓が割れたという。落下した物体の重さはわずか11グラムとされている。

 地元メディアは、青みがかった色の石の画像を公開しており、タミルナド州のジャヤラリタ・ジャヤラム(Jayalalithaa Jayaram)州首相は、この石を「隕石」と表現した。ただ、科学者らは、これがまだ証明されたわけではないと注意を促している。

 ジャヤラム州首相は、7日夜に発表した声明で「隕石は、私立工科大学の構内に落下し、大学のスクールバス運転手の命を奪った」と述べ、ニュースへの「衝撃」をあらわにしている。

 インド天体物理研究所(Indian Astrophysics Institute)のS・P・ラジャグル(S. P. Rajaguru)助教によると、この石が隕石である可能性はあるが、今後さらなる検証が必要だという。

 AFPの電話取材で同助教は、隕石であることが証明できれば、記録に残る歴史上初の隕石による死亡事故になると思われるとコメントした。しかし「隕石の大半は、大気中で完全に蒸発するために、地表に到達することはなく、地表に衝突することは非常にまれ。一人の死者も歴史の記録には残っていない」とも指摘している。

 ただ同助教によると、この飛翔物が隕石ではなく、ロケットやスペースシャトルの残骸である可能性もあるという。(c)AFP