【2月4日 AFP】(更新)「中高年」マウスの臓器内にある老朽化した細胞を除去することで、マウスがより健康で長生きになったとの研究結果が3日、発表された。抗加齢治療に興味深い可能性を提起する結果だという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文によると、年老いた「老化細胞」を除去したマウスは、除去しなかった同世代のマウスに比べて、腎臓機能の向上、心臓の強化、がん発病の遅れ、白内障の減少などがみられたという。

 さらには、寿命も延びた。

 論文の共同執筆者、米メイヨー医科大学(Mayo Clinic College of Medicine)のダレン・ベーカー(Darren Baker)氏は「老化細胞を除去するための治療を施したマウスは、寿命が25~35%延長した」と話す。

「治療開始から6か月後、月齢18か月の時点で、治療を施したマウスは、探索行動がより多くみられ、活動的で、腎機能や心機能にも向上が認められた」とベイカー氏は述べた。

 この効果は、雄と雌の両方、および異なる種のマウスにも及んだ。

 ベイカー氏は、ネイチャー誌が製作したポッドキャストで「あらゆるケースで、健康と寿命が顕著に向上することが分かった」と説明している。

 研究チームは、マウスに遺伝子組み換えを施し、細胞の「自殺遺伝子」を発現させる薬剤を使用することで、老化細胞を容易に除去できるようにした。

 老化細胞は、細胞分裂が止まり、もはや機能しなくなった細胞で、一部は自然に排出されるが、加齢とともに臓器内に蓄積されるものもある。

 老化細胞は、老化現象に関与していると考えられている。

「老化細胞が加齢に伴って自然組織内に蓄積していることは分かっていた。そこでこう考えた。マウスで中年期からみられ始める老化細胞を取り除いたらどうなるか、結果を見てみようとね」とベーカー氏は話す。