【2月3日 AFP】カラスは、姿が見えない別のカラスから見張られているのを察することができるとの研究結果が2日、発表された。人間に固有のものとかつては考えられていた抽象化の能力を、カラスが持つことを示す結果だという。

 賢い鳥として知られているカラスは、自分の動きを別のカラスが監視しているのではないかと疑っている場合、別の個体が実際にそこいなくても、餌を隠すために細心の注意を払うことを、研究チームは一連の巧妙な実験で明らかにした。

 英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された今回の成果は、カラスが直接の目視に頼らずに、別の個体が考えているであろうことを理解する能力を持っていると示唆するものだ。

 論文の主執筆者で、動物の社会的認知力に関する研究の第一人者であるオーストリア・ウィーン大学(University of Vienna)のThomas Bugnyar教授は「この結果は、『人間に固有』と考えられている特性が、動物にも存在する可能性があることを示している」と語った。

 研究チームは、施設内で飼育されたカラス10羽を6か月間にわたり調査した。

 実験の最初では、カラスを窓で仕切られた2部屋に入れ、一方が隠すための餌をもらうのを、もう一方の部屋のカラスが覆いのない窓を通して見ることができるようにした。

 研究チームは次に、仕切りの窓にのぞき穴のある覆いをした。カラスには、のぞき穴を通して互いに見たり見られたりすることを教え込んだ。

 この基本訓練を施した後、今度は、カラスが餌を保管しているときに、事前に録音しておいた別のカラスの音を再生してみた。