【1月28日 AFP】米名門オーケストラのニューヨーク・フィルハーモニック(New York Philharmonic)は27日、次期音楽監督にオランダ人指揮者のヤープ・バン・ズベーデン(Jaap van Zweden)氏(55)を任命したと発表した。

 バン・ズベーデン氏はバイオリン奏者から指揮者に転向し、巨匠の地位を確立。現在は米ダラス交響楽団(Dallas Symphony Orchestra)と香港フィルハーモニー管弦楽団(Hong Kong Philharmonic Orchestra)を率いている。ニューヨーク・フィルでは、米国人のアラン・ギルバート(Alan Gilbert)氏の後任として、2018~19年シーズンから指揮を執る予定だ。

 同氏はリンカーン・センター(Lincoln Center)で開かれた記者会見で、受諾は「1分」で決めたと説明。ニューヨークは音楽にとって「世界の中心」だと語った。

 北米随一のオーケストラとして名高いニューヨーク・フィルの音楽監督としては26代目となる。これまで、グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)、レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)、ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez)、クルト・マズア(Kurt Masur)各氏らそうそうたる面々が務めてきた役職だ。

 バン・ズベーデン氏の指揮者としてのキャリアには、バーンスタイン氏も大きく関わっていた。1980年代末、バーンスタイン氏が欧州ツアーでアムステルダム・ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(Amsterdam Royal Concertgebouw)を指揮した際、マーラーの交響曲第1番(Symphony No. 1)のリハーサルの最中に、観客の立場で聞きたいと言い出し、当時同楽団でコンサートマスターを務めていたバン・ズベーデン氏にタクトを手渡した。

 バン・ズベーデン氏は指揮の経験が全くないと言って断ろうとしたものの、聞き入られなかった。同氏によると、客席から戻って来たバーンスタイン氏は「(バン・ズベーデン氏の指揮は)かなりひどかったが、その中に何かが見えた。私はこれを真剣に受け止めたいと思う」と語ったという。(c)AFP/Shaun TANDON