【1月25日 AFP】英ウェールズ(Wales)の公共施設で、食料配給を希望する亡命希望者の手首に色のついたバンドを巻かせたことが明らかになった。25日の英議会で政府は厳しく追及されることになりそうだ。

 ウェールズ難民評議会(Welsh Refugee Council)は、カーディフ(Cardiff)の施設で起きたこの件について、第2次世界大戦中のナチス・ドイツ(Nazi)がユダヤ人に黄色い星のマークを付けさせたことになぞらえて非難している。

 同評議会のハンナ・ワーフ(Hannah Wharf)氏は「この問題は何度も、ウェールズ自治政府に提起してきた。(ユダヤの)人々にダビデの星(Star of David)を身に付けさせて目立つように強いたナチス政権を思い出させる出来事だ。人を軽んじ、餌に並ぶ動物のように扱っている」と非難した。

 一方、リストバンドを使用した施設の運営を請け負うクリアスプリングス(Clearsprings)社は、移民が食料を要求するための単なる便宜上の措置だと述べているという。

 野党・労働党のジョー・スティーブンス(Jo Stevens)下院議員はツイッター(Twitter)上で、25日の議会で問題として提起する意向を表明した。

 この支援施設で1か月を過ごした後に難民認定を受けたエリック・ヌガレさん(36)は、英紙ガーディアン(Guardian)に対し、このリストバンドのせいで亡命希望者であることが地元住民に分かってしまい、いやがらせの対象になっていたと話した。

 ヌガレさんは、リストバンドは「のけ者の烙印(らくいん)」だと述べ、「リストバンドを見たドライバーにクラクションを鳴らされ、車の窓から『自分の国に帰れ』と叫ばれることもあった。

 だが、リストバンドははがすと二度と貼り直すことができないので、食事が欲しければいつでも身に付けている必要があった」という。

 今回と似た事例としては、同国のイングランド地方でも最近、亡命希望者が暮らす住宅の玄関扉に民間の請負業者が赤色の塗装を施し、いやがらせの標的となったとする訴えがあった。(c)AFP