【1月22日 AFP】スペインのマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相が、ラジオで公開いたずら電話の被害に遭った。21日に放送されたこのいたずら電話の主は、独立の機運高まる北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州の新首相、カルレス・プチデモン(Carles Puigdemont)氏をかたる人物だった。

 今月の選挙で独立派のプチデモン氏がカタルーニャ州首相に選ばれたことについて、中央政府は怒りをあらわにしていた。しかし同州のラジオ局パーソナリティーが、首都マドリード(Madrid)にある首相官邸に、プチデモン氏の秘書を名乗って電話をかけたところ、予想外に首相秘書につながった。

 応答した秘書は、ラホイ首相は会議中だが、まもなく終わると伝えた。いたずら電話をかけた張本人らでさえ、真に受けられた幸運を信じられずにいたところ、数分後に本物のラホイ首相が電話口に出て、「やあ、調子はどうだい?」と、意外なほど友好的な口調で会話が始まった。

 偽プチデモン氏は首相に、面会が許されるだろうかと尋ねると、組閣交渉の進み具合によるがとことわりながらも、快く了承。「月曜には電話できると思う。お互いどこにいるかにもよるが…日程を決めよう」「私のスケジュールはとてもゆるいから、それから24~48時間以内には会えると思う」と話した。

 それ以上の言葉に詰まった偽プチデモン氏に代わってパーソナリティーが会話に割り込み、ラジオ局からいたずら電話をかけたのだとラホイ首相に告白。「ここまで持ちこたえられるとは思ってもいませんでした…恐らく私たちも、首相と同じくらい驚いていると思います」と言うと、明らかに不意を突かれた様子の首相は、「なんて冗談だ」と返答した。

 このいたずら電話は同日スペイン全土で話題になり、ラホイ首相率いる保守の国民党(PP)内も含めて好意的に受け止める声が大半だった。

 同党のラファエル・エルナンド(Rafael Hernando)報道官は、スペインからの独立を目指すカタルーニャ州の指導者、つまりは確執があるはずの人物と積極的に話し合おうとするラホイ首相の姿勢を示しているとした上で、「ラホイ首相は本物のプチデモン氏からの電話を望んでいるはずですよ」と記者団に語った。(c)AFP