【1月20日 AFP】カナダ紙グローブ・アンド・メール(The Globe and Mail)は19日、2013年に発覚した米軍に対するハッキング攻撃事件に、中国人民解放軍の兵士2人が「共謀者」として関わっていたと報じた。兵士らは、最新鋭ステルス戦闘機「F35」をはじめとする戦闘機の設計図などの米軍機密情報の窃盗を計画していたとされている。

 同紙は、2014年に始まった捜査を受けた訴追内容の概要からの情報として、中国兵2人が、最近カナダに移住したス・ビン(Su Bin)容疑者(50)と共謀し、複数の米軍需企業のデータベースを特定、侵入したとしている。2人の氏名は明らかにされていない。

 この事件に中国軍が関与したとの疑いが公になったのは初めて。米当局は当時、中国による広範な情報活動によって、ミサイル防衛や戦闘機、海軍船舶に欠かせない主要な兵器システム数十の設計図が流出した可能性があることを明らかにしていた。ただ、政府や民間の専門家でつくる諮問機関、米国防科学評議委員会(Defense Science Board)は報告書の中で、設計図を盗み出したのが中国政府だとは踏み込んでいなかった。

 グローブ・アンド・メールは、兵士2人が独自に行動したのか、それとも中国政府の指示を受けていたのかについては明らかにしていない。2人の共犯とされるス・ビン容疑者は2014年7月に逮捕され、翌年9月には米国への身柄引き渡しが命じられたが、現在バンクーバー(Vancouver)で上訴中だ。(c)AFP