【1月19日 AFP】台湾人のKポップ歌手が台湾の旗を振ったことで中国国内の反発を受け謝罪に追い込まれた騒動で、同歌手の所属する韓国の芸能事務所のウェブサイトが、サイバー攻撃によってアクセス不能な状態に陥っていることが分かった。同事務所の広報が19日、明らかにした。同事務所に対しては、騒動をめぐる対応に批判が集まっていた

 渦中の台湾人歌手、周子瑜(Chou Tzu-yu)さん(16)が所属している韓国の芸能事務所JYPエンターテインメント(JYP Entertainment)によると、同社のウェブサイトは16日以降ダウンしており、サイバー攻撃が原因とみられている。復旧のめどはたっていないという。

 同事務所に対しては、周さんが台湾の旗を振るところを捉えた動画が、同事務所の主要マーケットである中国で怒りを買ったことを受け、周さんに謝罪動画の撮影を強制したとの批判が集まっていた。

 台湾は国共内戦後の1949年に中国本土から分離して以来、自治を実施してきたが、正式に独立を宣言したことはない。中国政府は、台湾を中国の一部とみなし、必要であれば実力行使してでも中台統一を目指す姿勢を保っており、周さんが台湾の旗を振った行為は、台湾独立を支持する行為だとの見方も出ていた。

 JYPエンターテインメントが公開した動画の中で、周さんは動揺した様子で謝罪し、「中国は一つしかない」と強調している。この対応をめぐり、台湾と韓国では、周さんが不当に矢面に立たされているとの批判や、JYPエンターテインメントは中国にこびへつらって周さんに不当な圧力を掛けているとの反発がわき上がっていた。

 JYPエンターテインメントは、周さんを「強制的に」謝罪に追い込んだ事実はないと主張する一方で、周さんの判断に関わったことを認めていた。

 台湾では16日に投開票された歴史的総選挙で初の女性総統が誕生したが、この騒動は選挙の終盤に起き、大きな話題を呼んでいた。(c)AFP