【1月8日 AFP】中国は、北朝鮮と真っ向から対立して政情不安を招くよりも、「旧知の悪魔」のほうがましだと考えている――従って「水爆実験」成功を発表した北朝鮮に対し、中国が強い行動に出る可能性は低いと、有識者らは指摘する。

 そもそも北朝鮮側が聞く耳を持っているかどうか、甚だ疑わしいという声もある。

 国際社会はかねて、北朝鮮の気まぐれで無謀な振る舞いを制止するよう中国に要請してきた。これは、中国は北朝鮮を支援しており、平壌(Pyongyang)の政府に特別な影響力を持っているとの主張に基づいている。

 だが、複数の専門家が、この見方はもはや事実に即していないとみている。中朝関係は朝鮮戦争(Korean War)中に強化され、その緊密さは「唇歯の仲」とも形容された。しかし、2011年に金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏が最高指導者に就任して以来、両国の距離は開きつつある。

「北朝鮮に対する中国の影響力は弱まる一方だ。最大の問題は、北朝鮮指導部が聞く耳を持たないことにある。彼らは、とにかく頑固だ」と、国際関係を専門とする朱鋒(Zhu Feng)氏は言う。

 中国政府は北朝鮮の奇行にいら立ちを募らせており、4回目の核実験を受けてさらに不満が膨らんでいるのは間違いない。

 父親の故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記と異なり、金正恩第1書記は最高指導者に就任して以来まだ一度も訪中していない。先月、北朝鮮の人気女性楽団「モランボン(牡丹峰)楽団(Moranbong Band)」が中国に派遣された際は、共産党指導部を招いての公演計画に、中朝の友好ぶりの演出との見方が広がり、ひいては金第1書記訪中の布石とみなす向きもあった。

 しかし、楽団が北京(Beijing)入りした後に、北朝鮮は水爆を開発したと発表。楽団は公演を急きょ中止して帰国し、中朝関係は一気に凍り付いた。金第1書記はその4日後、「初の水爆の爽快な爆音とともに、2016年を開始しよう」とのメッセージを添えて、水爆実験実施の命令書に署名していた。