【12月21日 AFP】2012年にインドの首都ニューデリー(New Delhi)を走行していたバスの車内で、23歳の女子大学生が集団による性的暴行を受け、後に死亡した事件で、暴行に加わった元少年(当時17歳)の釈放取り消しを求める申し立てが却下されたことを受け、被害者の父親は21日、AFPに「司法に裏切られた」と語った。

 事件から3年が経過した先週、デリー高裁は現在20歳になっている元少年が釈放されると発表した。インドの少年法の規定では、少年刑事施設への収容は最高3年とされている。

 報道によると裁判所は20日、元少年の釈放許可に署名した。だが実際には元少年は今月9日にすでに、慈善施設に移されていたことが明らかになった。

 インドの女性団体「女性のためのデリー委員会(Delhi Commission for Women)」は元少年の釈放の取り消しを請願していたが、最高裁は21日、この請願を認める法的根拠がないとしてこれを却下した。

 被害者のジョティ・シン(Jyoti Singh)さんの父親のバドリナート・シン(Badrinath Singh)さんはAFPに対し「何と言ったら良いのか。私たちの失望はとても言葉で言い表せない。こういう法律はまったく理解できない。司法に裏切られたという思いしかない」と語った。

 また母親のアシャ(Asha Singh)さんは、インドは「何もこの事件から教訓を得ていない」と話し、さらに「(元少年の釈放は)若い犯罪者たちに、18歳未満ならば女の子たちをレイプして構わないという許可証を与えたようなものだ。やりたいようにやればいい、私たちの国にはあなたたちを罰する法律はないのだからと。皆が考えるのは男性のことだけ。女性は、これまでいつもそうだったように、裏切られてばかり」だと語った。

 ジョティさんの両親は20日、元少年の釈放に抗議するデモを警察が治安上の理由で解散させた際に短時間、身柄を拘束されたが、21日午後に再び議会近くで行われるデモに参加するという。

 釈放取り消しを請願した女性団体の代表、スワティ・マリワル(Swati Maliwal)さんは報道陣に「私たちは釈放をさせないための仮命令を求めたが、裁判所は受け入れなかった。制度全体がこの国の女性たちを裏切ってきた」と語った。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA