【12月17日 AFP】イラク南部ムサンナ(Muthanna)県でタカ狩りで同地を訪れていたカタール人少なくとも26人が武装集団に拉致された。県当局者らが16日、明らかにした。裕福な湾岸諸国の人たちにとってイラクは人気のタカ狩り地。

 イラクでは3か月前の9月にもトルコ人18人が拉致される事件が起きているが、このときは後に全員が無事解放された。トルコとカタールは両国とも、中東地域の問題をめぐってイラク国内の複数グループと対立関係にある。

 ムサンナ県のファレハ・ザヤディ(Faleh al-Zayadi)知事はAFPの取材に、数十人の武装した男らが狩猟でキャンプにいたカタール人27人を拉致したと語った。男らは機関銃を積んだ50台以上の車両で乗りつけ、拉致された人たちの中にはカタール首長の一族も含まれているという。

 一方、 ムサンナ県警察や地元議員らは拉致されたカタール人の人数を26人としている。

 カタール外務省は国営カタール通信(QNA)を通じ、「カタール国民が拉致された事件についてイラク政府に接触し詳細な情報提供を求めるとともに、彼らが一刻も早く解放されるよう努めている」との声明を発表。イラク当局と「カタール国民の安全確保」について協議するためムハンマド・ルメイヒ(Mohammed al-Rumaihi)外務次官がバグダッド(Baghdad)に派遣されたという。

 イスラム教シーア派(Shiite)が多数を占めるイラク南部などでは、シリア内戦やイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」対策をめぐり湾岸諸国を敵対視する傾向が強い。カタールはシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権打倒を目指す反体制派を財政的に支援する一方、イラクには南部を中心にアサド側を支援する武装グループが存在する。(c)AFP/Salam Fara