【12月16日 AFP】国際原子力機関(IAEA)は15日、イランの過去の核開発活動をめぐって長期的に行われた解明作業に幕を引いた。これにより、今年7月にイランと主要国が締結した歴史的合意に盛り込まれた内容を履行していく上で、1つの大きな障害が取り払われた格好となった。

 IAEAは同日オーストリアのウィーン(Vienna)で、35の理事国が出席する特別理事会を開催。「理事会による本件の検討を終了」し、先に出された決議を無効にする決議を採択した。

 これを受けてイランのIAEA担当大使は、イラン政府は7月の合意内容の履行の「加速」に向けて、制裁緩和の見返りに核計画を縮小し、合意によりイラン側に課された義務を「2~3週間」以内に果たしていくと語った。

 IAEAは今月2日、求めていたあらゆる情報は得られなかったとしながらも、イランの核疑惑の一部は確かに事実だったとする「最終報告書」をまとめた。同報告書は、イランは、原子爆弾の「開発に関連した幅広い活動」を2009年まで続けていたが、その内容は予備的なものにとどまり、核分裂性物質を用いるまでには至らなかったと結論付けている。

 このような報告書が出されたにもかかわらず、米露中英仏独の6か国はこの日のIAEA理事会決議案を共同執筆し、前進していくことで一致した。

 IAEAは今後もイランの核計画を監視し続け、7月合意に基づき、その監査の役割はさらに拡大されることになっている。

 天野之弥(Yukiya Amano)IAEA事務局長は記者団に対し、「これでプロセスが終わるわけでは決してない」として、「イランと国際社会との間にくすぶる不信感という後遺症」はこれから克服していかなければならないと語った。(c)AFP/Simon STURDEE