【11月26日 AFP】シリア国境付近でトルコ軍がロシア軍機を撃墜した問題で、救出された操縦士は25日、ロシア国営メディアに対し、撃墜前に警告は受けていなかったと語った。一方のトルコ軍は、同機に対し発せられた警告とみられる通信記録を公開した。

 トルコ政府は5分間に10回の警告を発したと主張しているが、特殊部隊によって救出された操縦士のコンスタンチン・ムラフチン(Konstantin Murakhtin)氏は、シリア領内のロシア軍基地でロシアの記者らに対し、「無線での警告も、視覚的な警告もなかった。通信は一切なかった」と説明。同機はトルコ領空を侵犯していなかったというロシア側の主張を繰り返した。

 一方、トルコ軍が公開した通信記録の一つには、「こちらは警戒中のトルコ空軍。あなた方はトルコ領空に近づいている。直ちに進路を南へ変更せよ」との英語の声が記録されており、同じメッセージは何度か繰り返されている。

 トルコは、同国軍のF16戦闘機による露軍機の撃墜は交戦規定に従ったものだったと説明しているが、ロシアは「計画的な挑発行為」だと主張している。この問題により、ともにシリア内戦の主要関係国で対立関係にある両国の関係は脅かされており、さらに大規模な地政学的紛争に発展する懸念が強まっている。(c)AFP