【11月22日 AFP】カナダのメディアはこのほど、政府文書の報告として、同国が年内に約2万5000人のシリア人難民を受け入れる計画を来週24日にも公表すると伝えた。フランス・パリ(Paris)で起きた同時襲撃事件の首謀者が難民を装い欧州に入国した可能性が指摘される中での報道となった。

 報道によると、カナダ政府は12月1日から、1日あたり約900人のシリア難民をヨルダンから同国の都市モントリオール(Montreal)とトロント(Toronto)に飛行機で移送する計画で、オンタリオ(Ontario)州とケベック(Quebec)州の軍事基地で一定期間滞在させるという。同計画の予算は今後6年間で12億カナダドル(約1100億円)と推計されている。

 同国のジョン・マッカラム(John McCallum)移民・難民・市民権相は、同計画の予算など詳細は24日公表されると述べた。しかし、ジェーン・フィルポット(Jane Philpotto)保健大臣は、今回伝えられた情報が「最新のものではないとして、正確であるとは限らない」と語っている。

 大西洋沿岸の都市ハリファクス(Halifax)で行われた安全保障に関する国際会合に出席したハルジット・サージャン(Harjit Sajjan)国防相は、シリア人難民を受け入れることで、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に打撃を与えると述べた。

 同国防相は、各国の軍指揮官や国防相が集った会合の冒頭で、「(シリア難民の受け入れは)人道的な理由のみで行うわけではない。この計画を通じて、ISIS(ISの別称)に、このような状況に我々を追い込めても、それを悪用することを許さないというメッセージを送ることが可能だ」と述べた。

 サージャン国防相はまた、パリでの事件以降に発生した治安上の懸念に対応するため、カナダが難民として受け入れるのは最も弱い立場にいる人々、または同国経済に恩恵をもたらすであろうスキルを保持する家族で、国家の安全に脅威をもたらす人間ではないと述べ、「(シリア難民は)貧困を逃れてくるのではなく、内戦を逃れてくる人々だ。カナダが受け入れる人々は、わが国の経済に恩恵をもたらしてくれるだろう」と続けた。(c)AFP