【11月10日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)・イスラエル首相は9日、米首都ワシントン(Washington D.C.)のホワイトハウス(White House)で会談し、両国間の密接な関係を強調した。イランと中東和平問題をめぐる両国間の不和の緩和を演出した形だ。

 オバマ大統領は大統領執務室(Oval Office)での会談で、イラン核計画への対応についてネタニヤフ首相と意見の相違があることは「秘密ではない」と認めた。だが両首脳は一方で、公の場で繰り広げられてきた激しい怨恨(えんこん)関係に終止符を打ち、300億ドル(約3兆7000億円)を超える規模の軍事協定などの協力関係に集中することで一致した。

 両首脳は長い握手を交わし、両国の「特別な絆」をたたえ合った。テレビ向けに演出されたこの仲むつまじい様子からは、2017年初頭に任期が切れるオバマ大統領とネタニヤフ首相が、残る約1年の協働期間を不必要な騒動を起こすことなく終えたいとの思惑がうかがえる。

 オバマ大統領は、イスラエルの安全保障が外交政策の「最優先」事項の一つだと述べるとともに、両国は「過去のどの政権よりも密に軍事・情報協力を行ってきた」と強調した。

 これに報いる形でネタニヤフ首相は、自身の再選を目指す選挙運動中にパレスチナ国家の樹立を支持しない意向をほのめかしたことの火消しに回り、「イスラエルとパレスチナの人々のため、ユダヤ人国家を認める非武装化したパレスチナ人国家という2国家の和平のビジョンをこれからも追求していく」と述べた。

 米政府高官らは、オバマ氏の在任中に和平協定の妥結に至ることはないと認めたが、ネタニヤフ首相には交渉の場に戻るための基礎を固めてほしいとの意向を示している。(c)AFP/Andrew BEATTY