【11月7日 AFP】独日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)は6日、ドイツが流入する難民申請者の中でも最多数を占めるシリア人に対する難民政策の規模を縮小し、家族を呼び寄せる権利などを取り消したと報じた。

 一方、シュテフェン・ザイベルト(Steffen Seibert)独政府報道官は同日、シリア人難民政策への「変更」はまだ連邦移民難民庁(Federal Office for Migration and Refugees)での政策決定過程にあり、「まだ実施されていない」と否定した。

 フランクフルター紙によると新政策では、シリア人はドイツに1年間の居住許可しか得られず、家族をドイツに呼び寄せることもできなくなる。同紙は独内務省の文書を引用し、「連邦移民難民庁に対し、シリア内戦を逃れてきた難民に第2級保護権のみ与えるよう指示が出た」と伝えている。

 また、トーマス・デメジエール(Thomas de Maiziere)独内相も、ザイベルト報道官のコメントに先立って報じられたラジオ番組で、シリア人難民には将来的に「補助的な保護」のみが与えられると発言。実施時期は明言しなかったものの、居住許可期間を短縮し家族呼び寄せ許可を取り消す方針を示した。

 ドイツはこれまで、内戦を逃れてきたシリア人を受け入れる寛大な政策を設け、難民への待遇として最も手厚い「最優先保護」の対象としてきた。この政策の下、シリア人には3年間のドイツ居住許可や家族呼び寄せ許可など、さまざまな権利が認められていた。

 フランクフルター紙は、独当局の統計によればドイツは今年8月だけでシリア国民からの難民申請5万5600件を受理し、うち3万8600件について難民と認定した一方、「第2級保護」を受けたのは53件のみだったと報じている。(c)AFP