【11月6日 AFP】国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は5日、アフガニスタン北部クンドゥズ(Kunduz)でMSFが運営する病院が米軍に誤爆された問題に関し詳細な報告を行い、頭部や手足を失ったスタッフや患者がいると明らかにした。

 10月3日に起きた米軍の誤爆では、少なくとも30人が死亡。MSFの病院は閉鎖せざるを得ず、米軍には国際的な非難が殺到した。

 MSFの内部調査報告によると、AC130対地攻撃機は、MSFのスタッフがアフガニスタン当局と米当局に対して多数の死傷者が出ているとの悲痛なメッセージを送った後も、約1時間にわたり病院を繰り返し攻撃したという。

 報告書は、ベッドの上から動けないまま焼かれた患者たちや爆弾の破片で首を切断された医療スタッフ、攻撃による外傷性切断に苦しむ看護士などの事例を紹介。炎上した建物から逃げ出した際に攻撃機からとみられる射撃を受けた人もいたとしている。複数の目撃者証言によれば、逃げる人々を狙い撃っていたという。

 カブール(Kabul)で記者会見したMSFのクリストファー・ストークス(Christopher Stokes)事務局長は「病院内から見たところでは、この攻撃は殺害と破壊を目的として行われたものだ」「だが、なぜかが分からない」と述べた。

■NATO返信は「祈っている」

 MSFによると、空爆があったのは旧支配勢力タリバン(Taliban)が一時的にクンドゥズを制圧した直後で、集中治療室や緊急治療室が入る病院本棟が執拗に攻撃された。MSFは午前2時56分に北大西洋条約機構(NATO)に対し、ショートメッセージで攻撃停止を要請し、多数の負傷者が出ている恐れがあると伝えた。NATOからは3分後、「ベストを尽くす。あなた方全てのために祈っている」との返信があったという。

 誤爆については米国、NATO、アフガン当局がそれぞれ調査を行っているが、MSFは「戦争犯罪」だとして国際的な事実調査委員会による独立した調査を求めた。

 MSFの報告を受け、米国防総省のジェフ・デービス(Jeff Davis)報道官は、「徹底的かつ透明な調査実施に合意」したと声明で明らかにした。

 MSFの病院をめぐっては、アフガン当局がかねて、タリバン戦闘員が逃げ込んでいると主張している。MSF報告書も、攻撃を受けた際に病院内で20人ほどのタリバン戦闘員が治療を受けていたことは認めているが、MSFの方針に基づき病院内には当時、武器はなかったと指摘。「負傷した戦闘員は国際法の下で患者とみなされる。攻撃されてはならず、例外なく治療の対象となる」とストークス事務局長は述べた。(c)AFP/Hashim SAFI