【10月30日 AFP】スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーズ(Volvo Cars)は29日、オーストラリア市場向けに、カンガルーを検知して衝突事故を回避する技術を開発していると発表した。年数千件の衝突事故を防ぎ、多額の保険費用の節約につながることが期待されている。

 カンガルーはオーストラリア最大の有袋類で、その力強い後ろ足から繰り出される移動速度は時速60キロにも達する。オーストラリアの自動車保険会社のデータによると、広大な豪大陸における動物との交通事故事例の大半がカンガルーとの衝突だという。

 ボルボ・カーズの安全技術担当のマーティン・マグナスン(Martin Magnusson)氏は声明で「スウェーデンの道路において深刻な脅威であるヘラジカやトナカイ、ウシなどのゆっくりと動くより大きめの動物については、われわれはすでに研究を終えている」としながら、一方のカンガルーについては「これらの動物よりも小さく、行動がより不規則だ」と述べた。

 ボルボによると、スウェーデンの安全技術担当チームが今週、オーストラリアの首都キャンベラ(Canberra)を訪れており、カンガルーの道路脇での行動を撮影して、検知および衝突防止ソフトウエアのためのデータを収集しているという。

 このシステムは、自動車のフロントグリルに設置された、前方をスキャンするレーダーセンサーと、フロントガラスに取り付けられた高感度・高解像度カメラを用いて、動く物体を検知し、ソフトウエアが衝突の危険性を察知するとブレーキが自動で作動する仕組みとなっている。

 マグナスン氏は「カンガルーは非常に予測不能な動物で回避が難しい。だが、われわれの動物検知技術を改良すれば、カンガルーを検知して高速道路での衝突を回避することができると確信している」と述べた。

 オーストラリアの保険会社NRMAによると、2014年にニューサウスウェールズ(New South Wales)州と首都特別地域(Australian Capital Territory)で報告のあったカンガルーとの衝突事故は9000件以上に上っているという。(c)AFP