【10月30日 AFP】ノルウェーの山中を散策していたハイカーが、非常に保存状態の良い1200年前のバイキングの剣を偶然発見した。考古学者らが29日、発表した。この発見は、地球温暖化が考古学に恩恵をもたらしていることを示す新たなケースとなる可能性がある。

 ノルウェー西部ベルゲン(Bergen)の考古学者、ヨースタイン・アクスダル(Jostein Aksdal)氏によると、剣は長さ80センチの錬鉄製で、年代は「バイキング時代初期、8世紀末頃」という。ベルゲンでは、この剣の展示が行われる予定。

 アクスダル氏は、AFPの取材に「当時、地位の高い人のための武器だったため、剣はすべて非常に貴重なものだった」と説明し、「(バイキングの)大半は、簡素なナイフやおのなどを使うしかなかった」と付け加えた。

 3年前にこの剣を発見したハイカーは、最近になってようやく考古学者らに剣を引き渡した。

 剣が山中に残されていた理由については、専門家らにも分かっていない。

 アクスダル氏は、「恐らくそこに墓があるのか、交易商人が残していったものか。何らかの理由でそこに隠されていたのか。どれも想像の域を出ない話だが…。そこで誰かが死んだのか。もしくは戦闘、窃盗、殺人か何かがあったのか。何とも言えない」と述べた。

 発見場所については、詳細な調査が来春、雪が解けた時に実施される予定となっているが、剣の保存状態が良好に保たれていた背景には、ノルウェー南部山岳地帯の寒冷で乾燥した気候が関係している可能性が高い。

 アクスダル氏によると、剣の発見場所周辺の気温は、1年の約半分が氷点下となるという。

 気候変動は、数多くの負の影響を地球に及ぼす一方、考古学者らにとってはプラスの作用として働くことも少なくない。

 このことについてアクスダル氏は、「雪解けが進むことは、ますます多くの古代遺物が日の目を見ることを意味する」と話している。(c)AFP