【10月13日 AFP】バングラデシュで農業に従事していた日本人男性が殺害され、イスラム過激派が犯行を主張している事件で、亡くなった男性が13日、イスラム教徒の墓地に埋葬された。当局者らは、男性がイスラム教に改宗していたというイスラム聖職者の証言を受けての対応だと説明している。

 星邦男(Kunio Hoshi)さん(66)は先週、三輪自転車タクシー「リキシャ」に乗っていたところを、バイクに乗った3人組に銃撃され死亡した。星さん殺害については、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」を名乗り、犯行を認める声明が出された。

 星さんはバングラデシュ北部のランプル(Rangpur)在住で、土地を借りて農業を営んでいた。

 星さん殺害の5日前には首都ダッカ(Dhaka)で、イタリア人の援助活動家、チェーザレ・タベッラ(Cesare Tavella)さんも同様の手口で射殺されていた。この事件でもISを名乗る犯行声明が出されている。

 ランプル市警察署長はAFPに対し、「(星さんは)13日午前、市内のムンシパラ(Munshipara)墓地に埋葬された」と明かした。

 同市関係者も、星さんが生前にイスラム教に改宗していたことが確認されたため、星さんはイスラム墓地に埋葬されたと述べた。この関係者がAFPに語ったところによると、「告別の祈りをささげた後、イスラム教の典礼にのっとって墓地に埋葬した。在バングラデシュ日本大使館もこの埋葬を承認しており、日本人職員2人も参列した」という。日本大使館の報道官も、星さんがバングラデシュで埋葬されたことを確認した。

 バングラデシュは、概して穏健派のイスラム国家であることを誇りとしている。しかし今年に入り、無神論者のブロガーが相次いで惨殺されたことで衝撃が走り、国内のイスラム強硬派組織に対する取り締まりが強化された。

 識者らは、イスラム教徒が人口の大半を占めるバングラデシュでイスラム過激派の脅威が増しているとして、長引く政治危機が反体制派の過激化を招いていると警告。一方でISが星さんとタベッラさんを殺害したと主張していることについては、懐疑的な見方を示している。(c)AFP