【10月6日 AFP】サボテン全体の31%にあたる約500種が、人間の侵入によって絶滅の危機にひんしていることが、5日に発表されたサボテンを対象とした初の世界規模の調査で分かった。

 自然保護の政府間組織、国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)によると、今回の結果により、サボテンは地球上で最も絶滅が危惧される植物種に仲間入りし、絶滅危惧レベルが哺乳類や鳥類より高く、サンゴの次位に位置することになるという。

 今回の調査を率いた、IUCNのサボテン・多肉植物専門家グループ(Cactus and Succulent Plant Specialist Group)のバーバラ・ゴーシュ(Barbara Goettsch)共同代表は「評価の結果は衝撃的なものだ」と話し、「サボテンの絶滅危機度がこれほど高いのは全くの予想外だった」と続けた。

 IUCNの「レッドリスト」は、動植物の絶滅リスクを評価するための判断基準として広く認識されている。

 サボテンは、アメリカ大陸原産で、過去数百年間にアフリカ、オーストラリア、欧州に持ち込まれた。人間を含む多数の動物にとって食物連鎖の極めて重要な一部を担っており、シカ、ウッドラット、ウサギ、コヨーテ、トカゲ、カメなどの栄養と水分の重要な供給源となっている。サボテンの種子は、これらの動物を介して別の場所に運ばれる。

 また、大半が砂漠に生育する植物のサボテンの花は、ハチドリ、コウモリ、ハナバチやガなどの昆虫といった受粉を助ける生物に花蜜を提供する。

 中米と南米の多くの地方では、人々はサボテンを食物と薬として使用している。

■「広範囲にわたる影響」

 英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に発表された今回の研究によると、サボテンの個体数減少を加速させている要因は、種や生育地域によってそれぞれ異なっているという。

 サボテンにとっての最大の脅威は、農業用地の拡大で、これはメキシコ北部と南米南部で特に顕著となっている。一方、沿岸地域を原産とするサボテン種は、宅地造成や商業開発によって個体数が縮小されており、またブラジル南部では、ユーカリ植林への土地転用によって少なくとも27種が被害を受けている。この内の一部はすでに絶滅危惧リストに記載されているという。

 今回の研究結果について、ゴーシュ共同代表は、「サボテンの減少は、乾燥した土地の生物多様性と生態系、そして果実や茎など食用の野生植物に依存している地域社会にとっては、広範囲にわたって影響が出る恐れがある」と指摘している。(c)AFP